口コミグルメサイト巡る法廷闘争、お店の情報は削除できないの?

相談者 K.Sさん

 昨年、念願かなって都内で自分の店を持つことができました。大学時代にアルバイト先の上司に連れて行ってもらったバーで、鮮やかな手つきでドライ・マティーニを作るバーテンダーの姿に魅了され、いつか自分もバーを開いて同じようなマティーニを出したいと夢見ていました。大学卒業後は、一般企業には就職せずに、ホテルのバーで修業を積み、昨年、ようやく夢をかなえたというわけです。

 バーを開店するにあたって、「秘密の隠れ家」をコンセプトとしました。バーはビルの地下1階にあり、階段を下りて来てもらうのですが、地上には看板も出しておらず、店の扉に表札程度の大きさの板に店名が書いてあるだけです。入り口はいつも施錠しており、お客様にインターホンを押してもらって扉を開けるシステムにしています。もちろん、お店の宣伝は最低限の範囲に抑えるように注意を払っています。私個人のブログや地元のミニコミ誌などでは紹介していますが、発行部数の多いグルメ雑誌などの掲載は一切お断りしています。

 これは、何も「一見いちげんさんお断り」のハードルの高い店にしたいわけではなく、店内には壁一面にクラゲが泳いでいる水槽があり、神秘的なイメージを演出しているので、都会の地下に深海があるという意外性に驚いてもらうためなのです。また、静かな隠れ家的雰囲気を楽しんでいただくために、「知る人ぞ知る」店にしたいと思っているので、お客様には店の情報を口コミサイトには投稿しないようにお願いしてきました。

 おかげ様で、来店して下さったお客様が新たなお客様を連れてきて下さるという、本当の意味での口コミで順調に常連のお客様も増えてきて、経営も順調に推移してきていました。しかし、今年に入ってから、急に一見のお客様がたくさん来店するようになり、常連のお客様が店に入れないことが多くなりました。不思議に思い、ある一見のお客様に、「この店のことをどなたにお聞きになったのですか?」と聞いてみたところ、「ネットの口コミサイトで、クラゲが泳ぐ隠れ家的なバーがあると書いてあったので、興味をもって来てみたんです」という答えが返ってきました。

 びっくりして、ネットで店名を検索したところ、あるサイトにうちの店の情報や口コミが掲載されていることがわかりました。急いでサイト運営会社に連絡し、店のコンセプトを説明して、サイトに掲載されると「秘密の隠れ家」として営業することができなくなるので、情報を削除するよう求めました。しかし、その会社は、「投稿者の表現の自由を侵害することになる」との理由で、削除要請には応じてくれませんでした。

 店の経営の根幹にかかわることなので、法的な手段をとることも考えています。最近、口コミサイトへの削除要請を求めた訴訟で、請求が棄却されたとも聞きました。今後の対応を決める際の参考にしたいので、口コミサイトへの削除要請を巡る裁判の現状を教えてください。(最近の事例をもとに創作したフィクションです)

(回答)

「食べログ」への削除要請

 昨年2月23日、相談者と同様の事案にかかわる裁判で判決が言い渡されました。「隠れ家」としての演出を営業の柱にしているバーの外観や内装等の情報が「食べログ」に掲載されてしまったことで、バーの営業戦略が阻害され、営業権(業務遂行権)および情報コントロール権が侵害されたと主張し、バーの経営会社が、「食べログ」を運営する株式会社カカクコムに対して、「食べログ」からのバーの情報の削除と330万円の損害賠償を求めて提訴した事案です。

 結論として、大阪地方裁判所は、原告の請求を棄却する判決を出しました。

 同判決では、「情報コントロール権は、自己の情報等を自由に取捨選択し公開の可否を自らの意思で決定できる権利または利益であるが、不法行為や差し止めを認めるために保護されるべき権利又は利益として認めることは相当でなく、営業権(業務遂行権)は、憲法22条1項の職業選択の自由に包摂されるものとして保障されるが、秘密性のある隠れ家として演出された飲食店舗であっても、当該店舗のホームページを作成し、インターネットに公開し、ブログも公開されているなどの事情がある場合は、当該店舗に関する感想などを「口コミ」で公開することは表現の自由の範囲内で適法である」としています。

 バー経営会社は、これを不服として控訴しましたが、7月に大阪高等裁判所で和解が成立しています。和解内容は明らかにされていませんが、「食べログ」の掲載情報から住所の一部と地図、電話番号が削除されたということです(詳しくは後述します)。

口コミグルメサイトの功罪

 何か美味おいしいものを食べたい時、職場や仲間内での飲み会場所を探したい時、クライアントとの適切な会食場所を探したい時など、様々な場面において、今、多くの人が、PCやスマートフォンでグルメサイトを利用しています。「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパー」「Retty」「ヒトサラ」「TERIYAKI」「Yelp」……多くのサイトが、少しでも多くの人にサイトを来訪してもらおうと日々しのぎを削っています。その中で最も知名度があり、多くの人が利用しているのは、「食べログ」だと思われます。ある調査機関によって昨年実施された、スマートフォン所有者を対象とする調査でも「利用したことがあるグルメサイト・アプリ」の項目で、「食べログ」が最も多く、80%近くになっています。

 もはや説明するまでもないでしょうが、「食べログ」とは、会員の口コミでつくる国内最大級のグルメサイトです。日本全国の飲食店情報を無料でデータベース化し、現在、約83万店舗、1千万件以上の口コミが掲載されています。ユーザーはアカウントを作成すると、レストランの料理やサービス、コストパフォーマンスなどへの評価をもとに5段階で点数を付けて、感想や写真とあわせ投稿することができます。つまり、個々の店舗への口コミ採点は、ユーザーの評価によって左右されることになります。

 そして、「食べログ」の存在感が増すにつれて、当然のように、その影響力を集客に利用しようとする動きが出てきます。2012年1月に起きた「食べログ」での「やらせ投稿」問題がネット上をにぎわせたことを覚えている人も多いと思います。飲食店が代行業者に依頼して、「食べログ」に対し、その店舗に好意的な口コミ情報を多数投稿させてランキング順位を操作していたという疑惑です。当時の報道によれば、月島もんじゃ振興会協同組合が、一部のお店で、突然、客の行列ができるなどの異変が続出したために調査を実施したところ、加盟店2軒がやらせ業者へのランキング操作の依頼を認めたことから問題が発覚したそうです。「食べログ」は、同事件を受けて、口コミの信頼性を維持・強化するために、信頼できる投稿者とそうでない投稿者を早期に判別できるようにシステムとアルゴリズムを強化するなどの対応を行ったと発表しました。

 ちなみに、問題発覚を受けて、消費者庁は景品表示法(不当表示)に基づく調査を行いましたが、飲食事業者が口コミ代行業者に対し投稿を依頼したことは判明したものの、実態よりも著しく優れているかのように投稿していたとは確認されず、法的措置を見送っています。

 他方、「食べログ」では、基本的にユーザーが自由に店舗情報を投稿することができ、また匿名による口コミ情報に基づくサービスであることも相まって、店舗側にとり都合の悪い情報や、時には誤った情報が掲載されるなどし、店舗側が訴訟を提起する事態に発展することもあります。ネット上でも「食べログ」の点数や書き込みが信用できるかについては、様々な意見が交わされており、その弊害を克服すべく、近時では、匿名以外での口コミを中心とするサービスがユーザー数を伸ばすなど、グルメサイトの今後の動きは目を離せない状況のようです。

 今回は、口コミグルメサイトを巡る、裁判例を紹介しながら、相談者の事例について検討してみたいと思います。

裁判所は「異なる記載」の削除認めず

 「食べログ」に事実と異なる内容が投稿されたとして、飲食店を経営する会社が、店舗情報の削除や損害賠償を求めた事案で、14年(平成26年)9月4日、札幌地方裁判所は、請求を棄却する判決を下しました。

 この事案では、飲食店を経営する原告が、「食べログ」において、「料理が出てくるまで40分くらい待たされた」という事実と異なる口コミが投稿されたなどとして、運営会社のカカクコム社に対して口コミの削除を求めたのですが、同社からは「実際の食事内容や店舗の営業内容を把握していないので、投稿者に対して、当該店舗から指摘を受けたことを説明した上で口コミの修正を依頼している」旨の回答がなされ、削除要請に応じてもらえなかったために、店舗ページ自体の削除と損害賠償を請求したというものです。

 原告の飲食店経営会社は、(1)店舗の名称は地域で有名であり、不正競争防止法2条1項2号の「著名な商品等表示」にあたると主張し、カカクコムが店舗の許可なく店舗名を掲載するのは不正競争防止法違反である、と主張しました。また、(2)店舗名を許可なく掲載するのは、店舗経営者の人格権に由来する名称権などを侵害するとして、民法709条に基づく損害賠償を請求しました。

 まず、(1)不正競争防止法についてですが、裁判で取りあげられた不正競争防止法2条1項2号は、自己の商品等表示として、他人の著名な商品等表示と同一あるいは類似の商品を使用し、またはそのような表示が使用された商品を譲渡引き渡し等することを禁止しています。この点、裁判所は、本件店舗の名称は雑誌やフリーペーパーで何回か掲載されたり、テレビ番組で紹介されたりした程度で、営業地域の枠を超えて広く知られ、名声や信用などを得ているとはいえないため、「著名商品等表示に該当すると認めることはできない」としました。さらに、カカクコム社がページ内に本件店舗名を掲載することは、ユーザーがどの店舗の情報かを特定したり、同ページのガイドや口コミが本件店舗に関するものであることを示したりするために用いているものであり、「商品等の出所を表示したり、被告の商品等を識別したりする機能を有する態様で本件名称を使用しているということはできない」とし、不正競争行為ではないとしました。

 次に(2)人格権に由来する名称権などについては、カカクコム社が「食べログ」のページ内で本件店舗の名称を記載しているのは、上記同様に、店舗や口コミを特定するためのものであって、「本件名称を用いて、被告が本件店舗を営業しているかのように装ったり、原告が本件サイトを運営管理しているかのように装ったりしているわけではなく、本件店舗や本件サイトの運営主体の特定や識別を困難にするものではない」として、名称権を侵害するものではないし、その他、当該店舗の法律的に保護された何らかの権利ないしは利益を違法に侵害したと認めるべき根拠もないと判示しています。

飲食店によるその他の主張

 ほかにも、飲食店側は「飲食店が、利用者から評価を受け、それに応えていくべきことは当然ながらも、端的に、本件サイトにおいて本件店舗の情報を掲載することを拒絶するものである」などとも主張しましたが、裁判所は、原告が広く一般人を対象に飲食店営業を行っていることから、「個人と同様の自己に関する情報をコントロールする権利を有するものではない」とし、原告の要求を認めれば、「原告に本件店舗に関する情報が掲載される媒体を選択し、原告が望まない場合にはこれを拒絶する自由を与えることになるのであり、その反面として他人の表現行為や得られる情報が恣意しい的に制限されることになってしまうのであって、到底容認できるものではない」と判示して、飲食店側の主張を退けています(その他の主張もありますが割愛します)。

札幌高等裁判所も削除認めず

 飲食店側は地方裁判所の判決を不服として控訴しましたが、札幌高等裁判所は15年(平成27年)6月23日、地方裁判所判決を支持し原告の請求を棄却しています。

 札幌高等裁判所は、カカクコム社が「食べログ」のページ内で店舗の名称を掲載したことで名称権が侵害されたかについて、原審判決と同様、店舗や口コミを特定するためのものにすぎないとして、「名称を冒用しているわけではない」と指摘しました。また、店舗の名称や所在地は原告自らが一般に公開している情報であり、同意を得ずに公開したからといって、何らかの利益を侵害するものではないとしています。

 その上で、「口コミ投稿の内容いかんによっては、本件店舗の評判が低下するなど、控訴人(注:当該店舗)に一定の営業上の損害が生じる可能性があること自体は否定できない」としつつも、飲食店を経営している以上は、客の評判によって利益や損失を受けるのは甘受すべき立場で、名誉や信用をいたずらに毀損きそんする内容の口コミならともかく、社会的に相当性がある口コミであるなら、営業上の損失が生じたとしても甘受すべきだ、と判示しました。その一方で、ページを削除するとなると、現在投稿されている口コミを削除することになるから、「ユーザーの表現の自由を害することになりかねない」とし、消費者は、店を利用した人の評価を知りたがっており、経営者の同意がなければ口コミ投稿が許されないとすれば、「一般消費者の情報にアクセスする機会を害することになりかねない」と指摘しています。

写真の削除では和解

 ちなみに、上記札幌地方裁判所での判決より前の事件(10年7月提訴)ですが、佐賀市の飲食店経営者が、無断で店の情報が「食べログ」に掲載されており、投稿者が投稿した写真が外装等を変更する前の写真であって事実とは異なり、顧客に誤解を与えるなどと主張し、カカクコム社に対し、店の情報を削除するよう求め佐賀地方裁判所に提訴した事件があります。

 報道によれば、同事件において、カカクコム社は、「投稿者が食事した時点の情報で掲載に違法性はない。最新の情報ではないことの注意書きもしている」などの主張をしていましたが、結局、11年1月15日までに、カカクコム社が店の情報を削除し、飲食店経営者が訴訟を取り下げることで合意したとのことです。

 和解や判決といった、裁判手続き内での解決ではありませんし、詳細も公表されていないので、なぜ削除要請に応じたのかは不明ですが、札幌地方裁判所での事案(料理が出て来るのに長時間待たされた)とは異なり、投稿内容が現在の外装とは異なる写真であって、事実との相違を明確に確認することができたことが関係していると推測されます。

「隠れ家」演出のバーなら

 以上、「料理が出てくるまで40分くらい待たされた」などの書き込みを巡る事案、投稿した写真が外装等を変更する前の写真であって事実とは異なるといった事案についての、裁判所の判断内容を説明してきました。

 そこで、相談者の事案と類似している、冒頭で取りあげた大阪地方裁判所で争われた事案に戻りますが、この事案では、事実と異なる情報が掲載されたわけではなく、「隠れ家」としての演出を営業上の柱にしているバーの外観や内装といった情報が「食べログ」に掲載されてしまったことで、バーの営業戦略が阻害されたとして、情報の削除及び損害賠償を求めたものです。

 原告が経営するバーは、店先に一切看板を出さず、来店者がインターホンを鳴らして鍵を開けてもらい店内に入ることができる仕組みになっており、秘密性のある「隠れ家」としての演出がなされ、「会員制のプライベートラウンジ」であることや、口コミサイトへの投稿を禁じる旨のプレートが掲示されていた一方で、ウェブサイトやブログで店舗情報の公開がされていました。

 訴訟において、原告は、バーの秘密性を保持することで価値を創出してきたにもかかわらず、月間5000万のユーザーアクセス数を誇る国内最大の飲食店検索サイトである「食べログ」に掲載されたことで、誰でもが簡単に店の情報をインターネット上で確認できることになり、経営戦略に基づく店の価値が阻害される、と主張しました。また、カカクコム社は、事前承諾を得ることなく無断で店舗情報を掲載する環境を提供し、それによって収益を上げているのだから、原告から情報の削除を求められた場合は、(1)情報コントロール権、(2)営業権や業務遂行権を侵害しないよう直ちに削除に応じる義務を負っており、応じないことは作為義務違反であり違法であるとし、情報の削除と損害賠償を求めました。

 これに対し、被告のカカクコム社は、次のように指摘して、差し止めは認められないと主張しました。

 (ア)飲食店は名称や所在地、電話番号、外観、内装などの情報を一般的に自ら公開していて、「情報を第三者に利用されない利益」は法的に保護されず、営業権侵害、自己情報コントロール権の侵害とはならない。

 (イ)原告は、自らブログなどで店舗情報を積極的に公開しており、「食べログ」で店舗情報を掲載することが業務遂行の権利侵害にならない。

 (ウ)自己情報コントロール権は、認められる範囲、権利の内容等について不確定な要素が多く、直ちに憲法13条に基づく権利として認めることは困難。判例では、秘匿性の高い個人情報でも認めるのは消極的なのに、一般的に公開されている店舗情報について認められない。

 (エ)営業権や業務遂行権に基づく差し止めが認められるとしても、業務遂行を阻害する行為であることが明らかで著しく相当性を欠いているような場合に限定されるので、本件はこれに該当しないことは明らかである。

大阪地方裁判所は削除認めず

(1)情報コントロール権について

 大阪地方裁判所は、原告の主張する「情報コントロール権」を「自らの情報に関しては自らが支配するというものであるので、人格権に基づくものと解される」と定義した上で、憲法13条で保護されるプライバシー権と対比しながら、「情報コントロール権というものを、不法行為や差し止めを認めるために保護されるべき権利又は利益として認めることは相当ではない」として、店舗情報の削除要求の根拠とはならないとしました。

(2)営業権と営業遂行権について

 営業権と営業遂行権については、憲法22条1項の職業選択の自由に包摂されるものとして保障され、原告は「自らの業務遂行のため、自己の情報に関し、公開するかどうかについて、選択する権利又は利益を有するものと考えられる」と、店舗情報の削除要求の根拠となり得ると判示しました。

 その一方で、カカクコム社が、店舗情報を一般公開している店全てを掲載する、店舗情報を完全非公開で営業しサイトへの非掲載を依頼された店については情報の削除に応じる、批判的な評価も含めユーザーの情報をそのまま提供する、という方針で運営していることを挙げ、今回のケースは原告が「隠れ家」といいながらも、自らネット上で店舗情報を公開していることから削除に応じなかったものであり「原告からの申し入れに応じないことが違法と評価される程度に侵害行為の態様が悪質ということはできない」と判断し、原告の請求を棄却しました。

自ら情報を公開していなかったら

 判決内容を見る限り、原告のバー経営会社の請求が認められなかった大きな理由として、原告自らが店舗情報をインターネット上で公開していたことが考えられます。判決理由中でも「本件店舗の店名、住所、電話番号、地図、店内見取り図等は、原告自身がホームページで公開しているし、その他、ブログやツイッター等により、本件店舗の情報が公開されているものは多数認められる」と明確に認定しています。

 では、仮に店舗情報を公開していなかった(もしくは公開の程度が低かった)としたら、どうでしょうか。

 大阪地方裁判所は、被告の行為が違法と評価されるかどうかにつき、「被告の利益侵害と侵害行為の態様との相関関係」で決定するとしています。判決も、すでに公開されている情報と同様の情報の公開であるから利益の侵害にならないと判断していると思われ、仮に、店舗情報をインターネット上などで公開していない場合(もしくは公開の程度が低い場合)は、この相関関係のバランスが崩れるため、判断が変わってくる可能性は十分に考えられます。そして、このバランスは、店舗による情報公開の程度によって、店舗側有利にも、サイト側有利にも傾くと思われます。

 そういう意味では、相談者の場合も、裁判所に対して削除要請を求めた訴訟を提起した場合においては、「秘密の隠れ家」として「お店の宣伝は最低限の範囲に抑えるように注意を払っています」としながらも、「私個人のブログや地元のミニコミ誌などでは紹介しています」といった点が、どのように評価されるかにかかっていると思われます。

 ちなみに、大阪地方裁判所の事案は、昨年7月に大阪高等裁判所での控訴審で和解が成立したと報道されていますが、「食べログ」の掲載情報から、住所の一部と地図、電話番号が削除されただけで、店舗の情報そのものまで削除されてはいないということです。私もネット情報を頼りにして、問題となったお店と推測される表示にたどり着けましたが、確かに、サイト上では、TEL・予約は「非公開」、住所も町名までとなっており、地図も表示されていませんでしたが、店舗情報自体はそのままとなっていました。

 口コミグルメサイトの側も、何も好きこのんで、すべて裁判で決着しようというわけではないのですから、相談者としては、上記のような、裁判を提起した場合における決着内容も参考にした上で、自らの意向を提示し、まずは交渉されるのがよろしいかと思います。

 

2016年02月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

 

 


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